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ドイツ車に飽きたらコレをどうぞ

小学校の同級生のおうちが校門の前で不動産屋さんを営んでいました。
その隣は筒井文房具店、当時サンスターから「像が踏んでも壊れない筆箱」や「スパイ手帳」という子供心をいたく刺激する、言い換えると射幸心を煽る商品が発売されていて、「これがきっかけでこの子がスパイにでもなったらどうしましょう」なんて親を心配させたものでした。事実「像が踏んでも壊れない」筆箱は少年の踏みつけの刑にはめっぽう弱く、度々破壊されていたようです。確かシャープペンシルなるものが出始めたころでもあります。野球少年たちはオレンジと黒のジャイアンツジャンパーを好んで着て、野球手帳みたいなものを常時携帯していました。当時その文具店があった池上通りは非常に栄えた商店街でもあり、高度成長期に入った我がニッポンが活気にあふれていた時代でもありました。さて、その不動産屋さんの娘さんは和子さんといって活発なお嬢さんでお姉さんが一人、そしてお父さんが多分一人、不動産業というのはいつの時代でもお金が儲かるのか「金持ち感」のつよいおうちでした。その生業のせいか「おまえの親父が○○を追い出した」などといって同じ学校の生徒が立退きの憂き目にあったりすると、当然そのお嬢さんがみんなから責められたりすることもしばしばでした・・・ここまでくると当然その娘さんの話題かと思われる方が大勢いらっしゃると存じますが、実はお父さんの、正確には多分そのお父さんが新車で購入されたと思われる車のお話です。国産車がまだ13インチの155/82(イメージですよー)なんてサイズのタイヤを履いてる時代にその不動産屋の前にドカンと、今でいう放置駐車された車体を支えるゴムは舶来品できっと225/70で15インチ(これも適当なイメージ)だったりして、それはそれは圧倒的なたたずまいであられるわけでして、少年には馬のマークとなんだかわからない英語のエンブレムの記憶が刻み込まれました。この車は今で言うところの(といってもかなり前の今)スペシャリティカー、初代セリカLBなんかの始祖といえます。馬のマークといってもドイツとかイタリヤではなく、USA製、日本的に書くと「野生馬 音速1号」英語では「MUSTANG MACH1」ですね。めちゃめちゃ前が長くて幅もあって日本車なんて踏み潰しちゃいそうな車でした。そのお父さんがこの車で夜な夜な何をしていたか、お嬢さんの母親と不仲だったとか、もう35年も前の話ですので憶えていませんしどうでもいいことなので、大事なのは今でもそのムスタングのカッコ良さが忘れられず、そして他のアメ車たちも、負けないくらい「スタスキー&ハッチ」でスタ吉だかハチ平だかが乗っていたトリノだかチャレンジャーだかもえらくかっこよく見えたということです。しかし実際に免許を取得する年齢になるとアメ車の凋落ぶりは凄まじく、車といえば外車、外車といえばポルシェにベンツにフェラーリであって、時代遅れになって朽ち果てつつある中古車のムスタングやチャレンジャーのことは遠い記憶のスミに、忘却のかなたへ、飛び去っていったのです。
そしてまた時が過ぎアメ車と巡り合うチャンスが訪れました。コラムシフトにベンチシート、かっこよかったー、色々思い出深い車ではあったのですが、結局あまり乗らないうちに売ってしまったマーキュリーセーブルワゴン。あれからさらに20年、いつも心の中にはアメ車が忘れられずに細々と火を燈していたのが2006年モスラーMT900RのLSエンジンに乗ったことやGT40の出現によって火がついてしまいました!!
あの10歳の少年をスパイ手帳やホットホイールと同じくらい熱くさせたアメ車が、ついに我が家にやってきたのです。但し旧車は手間がかかるのとデイリーユースに不向きなので2005年製、4.6L V8、なんと後ろ足はリジット(板バネじゃなくてよかった)、エンジンふかすと0.3秒遅れてタコメーターがブン!そのまた0.3秒後にコクンというショックと共に車は前進、思わず「ミッションすべってんですか?」とお店の人に聞いてしまいました。コーナリングというよりか「カーブはハンドル切って曲がろうぜぃー」みたいな感覚のくるま・・・車好きや夢を抱いて買ったらもの凄く後悔するだろうな・・・わかりやすく表現すると「音が大きくてあまり吸わない外国製掃除機、でもカッコは何となく雰囲気あるからイイカンジ、みたいな」ですね。インテリアといい、チリといい、20年前から殆ど進歩しないFORDって凄い会社、質感はビッツやフィットと変わりません。本革シートっていいながら恐らく革はブタさん、やっぱ普通は牛でしょ!?ドアポケットには何も入らないし、でかくて大雑把なデザインのくせに収納はないんです。でもそのちゃんとしてなさ具合がね、いいんですよ!ほんとに。でもって夜間のメーターの色が10色ぐらい選べたり???アンテナは1mぐらいあるのを右Fフェンダーにねじ込む、外しが多いですが、ドイツ車に飽きたらコレをどうぞ、始めからいい加減ですから、細かいことは気になりません!
まあこれからの予定をご説明しますと、エアロつけて足回りやってスーパーチャージャーで400psにして、東名とかでポルシェと勝負!もちろん直線だけ!
それともGTカーつくってGT40と同門対決とかやったら楽しいかも、あーまた今夜も妄想にふけって夜が深けていくのでした。

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